感謝するって、難しいことなの？　《４．感謝》

現代は、感謝を感じにくい環境と言えるのかもしれません。

電話がない時代は、自宅に電話が来て、
遠く離れた人と話せるようになった時、
「なんて便利なんだ！」と感動しました。

留守番電話が一般的になった時、留守にしても大丈夫♪
「なんて便利なのだろう♪」と感心しました。

そして、携帯電話が普及した今、
待ち合わせのときのすれ違いが激減し、
ごった返した駅前でも、確実に友達と会えるようになり、
「ほんと便利な世の中になったもんだ。」とつくづく思うようになりました。

携帯メールがない時代には数字しか送れなくても、
ポケットベルの有能さのお世話になりました。

けれど、携帯メールが一般的になると
もう、一日中携帯端末の液晶画面を凝視し、
最近では、無料で即時性があり、
可愛いスタンプで会話が成立する「ＬＩＮＥ」にすっかりお世話になっています。

こんな風に、利便性を追求し、達成し続ける現代では、
生まれたときからその環境にある子供たちに
「感謝の心」を理解させるのは簡単ではないのかもしれません。

蛇口をひねればお湯が出て、
冷蔵庫には、何がしか食べ物があり、
引き出しには洗濯した衣類が入っている。
暑い季節には冷房を、寒い季節には暖房が、当たり前の装備となり、
壁のスイッチを入れれば、煌煌と照明が灯る。

幼少期にはおもちゃを、
少し成長すれば本や洋服、
または自転車、バイク、と願えば
何がしかの形で手に入れることができる。

そんな現代に、感謝の美徳を育てるには、
今の生活の中でいくつかの要素がなかったらどうなるだろうと想像してみます。

水道が止まってしまったら。。。

食料品を購入できなくなったら。。。

清潔な着替えが手に入れられなかったら。。。

夏の暑さの中、冷房も扇風機もなかったら。。。

凍える寒さの中、暖房がなかったら。。。

電気が止まり真っ暗な中、夜を過ごさなければならなかったら。。。

当然聞くことができるはずの家族の声を聞くことができなくなったら。。。。

例えば地震などの大きな災害に遭うと、
電気、水道など当然のライフラインのありがたみが身に染みてわかります。
衣・食・住、それを支えている人達のありがたみもわかります。

健康に気を遣わず、暴飲暴食、過労で睡眠不足など、
体を気遣わずいると、
健康を損なった時に、健康のありがたみがわかり、
自分自身を大切に扱っていなかったことに気が付きます。

もし自分の両親が存在しなかったら・・・と想像すると、
自分は現世に生まれ出ることができませんでした。

自分の両親にも両親がいて、
さらにその両親にも両親がいる・・・。
さらにその両親にも両親がいる・・・・・・・。

ずっとずっと続いています。
誰が欠けても、今の自分は存在しません。
すべての人がかけがえのない存在なのです。

私の家庭は、いつも争いに満ちていたので、
その当時は、感謝の言葉どころではありませんでしたが、
その両親が居なければ今の私は存在しませんし、
大変ユニークな環境で育ててくれたお陰で、
心の中に、沢山の引き出しを持つことができました。

彼らは、すでに光になってしまったので、
直接「ありがとう」が言えないことは、少し残念です。

家族に対する複雑な感情や、引っ掛かりがあって、
言葉で感謝の気持ちを素直に伝えるのが難しいときには、
手紙の中で、素直に想っている感謝の気持ちを
伝えてみましょう。

それこそメールでも良いでしょう。
メモ程度の走り書きでも良いでしょう。
感謝の気持ちをつづり、家族に渡してみましょう。

毎年の誕生日や母の日、父の日も、良いチャンスです。
勇気を出してメッセージを伝えてみましょう。

期待した返事が来なくても、失望しない。
その相手もどのように伝えたら良いのか分からないのかもしれません。
少しの勇気が出ないだけかもしれません。

家族に感謝を伝えるということは、
どうやったらよいのだろうと、とまどう場合もあるかもしれませんが、
まずは自分から、自分のために、挑戦してみてください。
やりやすい方法でかまいません。
心に思うだけでも、第一歩です♪

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「感謝」

感謝とは自分が持っているものをありがたいと思うことです。
学ぶこと、愛すること、存在することに対する感謝の態度です。
毎日、あなたの周囲で、そしてあなたの内部で起こるささやかな
事柄をありがたいと思うことです。
ポジティブ（肯定的）に考えることです。
感謝の気持ちは満足をもたらしてくれます。

　リンダ・カヴェリン・ポポフ　著/　大内　博　訳/　太陽出版
「５２の美徳カード」「５２の美徳教育プログラム」より
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