縁を大切にしよう
「袖すりあうも多生の縁」(注)と言われます。
昔は、ご近所の年配の方から、日常的に説教されていたものです。
町内に一人は「雷おやじ」がいて、
「親を大切にしない」とか、「家の仕事を手伝わない」とか、
「道での挨拶をきちんとしない」とか、いちいち、叱られていました。
それこそ、「○○さんの家の、○ちゃんは、髪を染めて!!!」とか、
「○○さんの家の、○君は、悪い友達と絡んでいるよ!!」とか、
本当に監視の目が厳しかったものです。
当時は、家族でもない人の小言に、「うるさいな~」と思いながらも、
素直に従ったりしました。
夏は、町内の井戸で冷やしたスイカを分け合いながら
いわゆる井戸端会議に花を咲かせたり、夜には花火をしたり・・・
町内のラジオ体操は、あたりまえに参加していたし、
秋になると「芋煮会」、年末は町内の大掃除、
そしてお正月用のお餅つきなんて行事も楽しみだったものです。
いわゆる「町内会」という、コミュニティが必ずあり、
他人同士が助け合い、励ましあっていたものなんです。
今の若い方は、「調味料を借りる」という習慣、ご存じないのでしょうね。
お味噌やお醤油が少し足りなくなったとき、
ご近所に借りに行って、その晩の炊事に間に合わせるということは、
本当によくありました。
そのお返しとして、貸した調味料が、何かのおいしいお惣菜に変身したり、
そのお家の田舎の名物だったり、どこかに行ったときのお土産だったり、
という、「別な形」に代わって返ってきたものです。
それはそれでとても楽しい習慣でした。
最近もそのような習慣あるのでしょうか?
「ご縁を大切にしなさい」と、昔よく言われました。
まだ幼い頃は、その意味がよく分かりませんでしたが、
大人になると、しみじみとその意味が理解できるようになります。
花が美しく開くためには「種だけの力」では不可能です。
そう、土や水が必要です。日光も欠かせません。
種はそれだけではなく、そのほかの存在と交わりながら育ちます。
縁とは「結びつく」「交わる」という意味。
古い日本が大切にしていた、ご近所付き合いは、
多くの出会い=縁のスタートです。
種が、土や水で、成長するための環境を整え、
日光と光合成し、さらに成長します。
しかし、時には、大風という危険にもさらされ、
その経験から、根を伸ばし、自然の脅威に負けない
力強い根を持つようになります。
そんな風に、人も生きていくなかで、本当にたくさんの出来事があります。
楽しいことばかりではありませんね、当然。
その最中は、どうしてよいのかわからないことも、たくさんあります。
そんな時は、さまざまなご縁が必要です。
「縁を大切にして生きる」ことは生きていくうえで、必須なことなのです。
出会いが成長を促し、味方を作ります。
人は一人では生きていけません。
家族や、先生、友達、ご近所さん、数多くの人との出会が
生きていくうえでの糧です。
時には、苦手な人との出会いもあるでしょう。
でも、そうした出会いによって、様々な理解が深まります。
そして、精神的な免疫力が養われ、さらに強く柔軟に
生きていくことができるようになります。
すべての出会いは意味があり、欠かせないものです。
まず第一には、家族・家庭、そしてご近所との縁ですね。
【注釈】 人との縁はすべて単なる偶然ではなく、
深い因縁によって起こるものだから、
どんな出会いも大切にしなければならないという仏教的な教えに基づく。
「多生」とは、六道を輪廻して何度も生まれ変わるという意味。
「多生の縁」は、前世で結ばれた因縁のこと。
「袖振り合うも他生の縁」とも書く。
「袖擦り合う(擦れ合う・触れ合う)のも多生の縁」ともいう。
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